物流情報誌「Daily Cargo」様にご掲載いただきました

株式会社海事プレス様が発行する物流業界紙「Daily Cargo」にForward ONEサービスが取り上げられました。以下に記事を転載いたします。尚、記事は海事プレス社の承認を得て掲載しております。

日新 将来見据えデジタルFWD開始 コロナ契機に開発急ぐ

(2021年9月8日号)

 日新は7月末にオンラインで航空・海上LCL輸送の見積り取得・発注が可能なデジタルフォワーディング(FWD)サービス「Forward One」の提供を開始した。同社は近年、同様のサービスの研究を進めていたが、新型コロナウイルス感染拡大が契機となって開発を急ぎ、最低限の機能を確保して今回のリリースに至ったという。ドア・ツー・ドアの料金計算の自動化、オンライン上で受発注管理が完結するといった国際フォワーディングの未来像を見据えつつ、実際にデジタルフォワーディングのプラットフォームを運用しながら課題を抽出していくことで、先行者メリットを創出していく意向だ。
 
 Forward Oneの開発・運営は東京本社に置く物流DX推進室が担っている。同室の陣容は10名。今春に陣容を拡大し、デジタルフォワーディングを始めとした先端技術を活用したサービス・ソリューションの開発を行っている。
 
 同室は以前よりデジタルフォワーディングの研究を進めていたが、昨年10月から本格的に開発に着手した。コロナ禍での対面営業機会の減少から、オンラインで見積りを取得する機能を設けることで、対面営業とは違ったチャネルでの案件獲得につなげようとの考えから、提供開始を急いだという。
 
 現在、Forward Oneでは日本発海外向けの海上LCL、航空輸送サービスの見積りをオンラインで即時に取得できる。同社が混載サービスを展開する路線、13カ国23 都市向けが対象だ。現地での配送費用などを含む合計料金やリードタイムを確認できる(一部仕向地を除く)。近年、一部フォワーダーで国際輸送のオンライン即時見積り機能を提供する会社が出てきたが、日系フォワーダーで日本発の国際輸送をカバーしているものはまだ少ない。また豊富なグローバル・ネットワークを活用し、イレギュラー時のバックアップ体制が整っている点で、他のデジタルフォワーディングを提供するスタートアップ企業と差別化できるという。
 
 サービス開始にあたっては即時見積りで提示する合計料金やリードタイムをどう確定していくかが課題だった。通常の国際輸送業務では、時として想定外のイベントが発生する。現地で貨物が止まったり、追加コストが生じることもある。料金決定は現地法人などへの確認など時間を要する作業であり、トータルのコストやリードタイムを一律的に確定するのはリスクとなる。だが、同社は今後のデジタル化を見据えて、先行して即時見積りの機能とその仕組みの構築を進めている。物流DX推進室の田原雄介室長は「商習慣はデジタル化で変化しており、業界の理屈をいつまでも振りかざし続けるわけにはいかない。まだ、料金決定などの裏側はアナログな部分も多いが、混載サービスという確定しやすいところからスモールスタートで始め、機能拡充を並行して進めるというのがポイントだ」と話す。
 
 料金決定にはまだ課題も残るものの、オンライン見積りで提示する料金は実際に営業スタッフが提示するものと遜色ない水準で設定しているという。例えば航空輸送の場合、重量逓減制を適用しており、インテグレーターの見積り機能との差別化を実現している。同室の中川穣プロジェクトリーダーは「提示される見積り料金は定期的に更新しており、コロナ禍での不安定な運賃相場においても実際の費用とほぼ同じものを提示できている。更新頻度を高めて、より実態に近い料金を確認できるようしていく」と話している。
 
 今後の機能拡充については、まず仕向地や輸送手段の拡充を進めていく。コロナ禍での海上輸送の混乱から難があるものの、海上FCLへの対象拡大を検討しているほか、混載サービスの範囲外についても、需要をヒアリングして見積り料金を設定したいとの意向だ。また、メインポート発の航空輸入貨物や混載サービスを既に提供している冷凍・冷蔵輸送のオプションへの対応も計画している。
 
 さらに、オンラインプラットフォーム上での輸送進捗管理などの機能も予定している。現在、Forward Oneは新規顧客をターゲットとした新たな営業チャネルとして運用しているが、今後は既存顧客でも利便性を享受できるような仕組み作りも進めていく考えだ。
 
現地での配送費用なども含むドア・ツー・ドアの合計料金が提示される