物流情報誌「Daily Cargo」様にご掲載いただきました
株式会社海事プレス様が発行する物流業界紙「Daily Cargo」に掲載されました。尚、記事は海事プレス社の承認を得て掲載しております。
スタンデージ/日新
物流費の透明化、新たな強みに デジタルFWDサービスで連携
(2024年3月6日号)
https://www.daily-cargo.com/news/shipping/2024/03/160188/
デジタル貿易プラットフォーム(PF)の開発を手掛けるスタンデージ(STANDAGE)と日新は、物流費の透明化を先導し、貿易業界のデジタル化と業務効率化を後押ししている。多くのフォワーダーにおいて、運賃見積もりの提示には関係各所への確認が必要なため、数日~1週間を要する。スタンデージの「デジトラッド・フォワーディング」では、日新を含む提携企業の相見積もりをウェブ上で即時に取得でき、物流会社側の業務負担も軽減する。2社は気軽にレート比較できるPFを浸透させることで、属人的な業界環境の変革を図っている。
スタンデージが昨年10月に公開した「デジトラッド・フォワーディング」は輸送形態やコンテナタイプ、仕向け地・仕出し地を選択するだけで、運賃レートを提供している物流会社10社以上の概算見積もりを取得することができるサービス。ブッキング成約に進んだ取引については「チケット」と呼ばれるシステム上に、必要書類や担当者とのやり取りといったあらゆる情報を格納する。アカウントは無料で作成できるだけでなく、社内の関係者を招待することもでき、案件ごとの一元管理を可能にしている。
一方、日新も独自のデジタルフォワーディング(FWD)サービス「Forward ONE」を展開している。約1年3カ月の時間をかけて自社開発したPFで、同社の運賃見積もりが即時取得できる機能はもちろん、リアルタイムに船の遅れなどを反映するスケジュール検索機能も搭載する。
「Forward ONE」PJTチームに所属する、中川穣プロダクトマネージャーは「事業を推進する上で、確実に顧客の価値観が変わっているという肌感があった」と振り返る。昨年4月の運用開始当初は、新たな顧客層に従来とは異なるアプローチを仕掛けることを目的としていたが、概算見積もりの即時取得に予想以上に大きなニーズがあり、既存の顧客からもオンラインサービスの利用希望を受ける動きが相次いだ。中川マネージャーは「(ウェブページ上に)レートがずらりと並んでいることが普通になる未来が来るという予感がある」と話し、新規利用者の流入も見据えてスタンデージのPFへのレート提供に踏み切ったことを明かした。
ただ、日新のようにデジタルFWDサービスを自社展開する企業は業界の一部であり、他社との価格差が一目瞭然となる「デジトラッド・フォワーディング」のようなPFに拒否反応を示す企業は少なくない。こうした状況を踏まえて、スタンデージ側では相見積もりに対する抵抗感を減らすべく、「デジトラッド・フォワーディング」から枝分かれした新たなサービス「プロ版」(仮称)の開設を予定している。サービスはフォワーダーを対象に提供し、自社の概算見積もりを即時取得できるPFをスタンデージが開発する。既に10社ほどに導入を提案しており、現在運賃見積もりをデジタル化するニーズがどれほどか探っている段階だという。
スタンデージの大森健太取締役副社長は、「デジタル化されたFWDの便利さを広める」ことが重要だと指摘する。自社独自のPFを開設するには、開発コストが大きな障壁となる。まずは「プロ版」を通じてフォワーダー側のデジタル化と業務効率化を支援し、オンラインでの運賃レートの公開に対するハードルを下げることで、将来的には「デジトラッド・フォワーディング」への連携を促していきたい考えだ。
また、日新の「Forward ONE」では9月頃に、表示する運賃レートが顧客ごとにカスタマイズされるようPFをアップデートする予定だ。これにより、荷主は自社に提示されている運賃レートでの見積もりもウェブ上で即時取得できるようになる。出荷時期などによって変動する、顧客の要望に応じた競争力のある価格をオンラインで提供できるようになる見込みで、このレートも「デジトラッド・フォワーディング」に連携する予定としている。日新の中川マネージャーは「オンラインでの業務効率化が、コストやサービスの柔軟性と併せたフォワーダーの選定基準になる」と語る。2社は今後も業界に先駆けたデジタル化の取り組みを続け、運賃レートの透明化に対する業界の価値観変革を図っていく。